野生のアジアゾウは国内300〜400頭に減少、国際研究チームが生息回廊の緊急保全を提言

ニュース要約
国際環境研究チームが発表したラオスの大型哺乳類保全調査によると、国内の野生アジアゾウの推定生息数が300頭から400頭まで激減していることが明らかになった。生息地は24の孤立した小集団に分断され、その88%が20頭未満と絶滅リスクに直面している。研究者はナムプイ国立保護区などの重要拠点を結ぶ移動回廊の確保と違法密猟の根絶を訴えている。
重要なポイント
- ラオス国内の野生アジアゾウの生存数は推定300〜400頭まで激減
- 全国の生息地が24の孤立集団に分断され、その88%が個体数20頭未満の危機
- ナムプイ保護区やナカイ・ナムトゥーンを結ぶ移動回廊の確保と地域共生を提言
国際自然保護連合(IUCN)や野生生物保護学会(WCS)などの国際研究チームが学術誌に発表した最新の生態系評価調査によると、「百万頭の象の国(ランサーン)」の象徴であるラオスにおいて、野生のアジアゾウの生息数がわずか300頭から400頭程度にまで減少していることが判明した。かつて国内の森林に広く分布していた大型哺乳類の生息環境が危機的な瀬戸際に立たされている。
調査報告書によると、残存する野生ゾウは全国24箇所の隔離された生息地ブロックに細分化されており、そのうち88%に当たる集団が20頭未満の極めて脆弱な小グループにとどまっている。群れ同士の交配が断たれることで遺伝的多様性の低下が進み、地域絶滅の危険性が急速に高まっている。現在、まとまった繁殖集団が確認されているのは、北西部のサイニャブリー県「ナムプイ国立保護区」および中央部アンナン山脈の「ナカイ・ナムトゥーン国立公園」の2大拠点周辺に限られている。
研究チームは、インフラ開発や農地拡大によって寸断された森林パッチを再び連結する「生息地コリドー(移動回廊)」の法的位置付けと緊急整備を政府に提言した。さらに、農地を荒らされた農民との軋轢を防ぐ早期警戒システムの導入や、国境地帯における象牙・毛皮などの違法野生動物取引の根絶に向けたパトロール強化が、ラオスの森林生態系を次世代に残すための最後の猶予期間であると警告している。